~運動×理科シリーズ 第4弾~「力が逃げる」ってどういうこと?エネルギー保存の法則から運動を考えてみよう!

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運動×理科シリーズ③跳び箱は理科だった!?開脚跳びに隠された「エネルギーのリレー」

こんにちは!東京都港区南青山にあるBUDDYキッズ運動教室のカズ先生です。

「挫折しない!わたしの・ぼくの得意が見つかる運動教室」をコンセプトに、特に運動に苦手意識を感じているお子様をサポートする運動教室として、発育や運動に関するさまざまな悩みにも寄り添い、今日も元気に活動中です!

運動を教わっているときに、

「もっと地面の力をもらおう!」

「そこで力を逃がさないように!」

といった言葉を聞くことがありませんか?

BUDDYのレッスンでも、「せっかく作った力を次の動きにつなげよう」と伝えることがあります。

でも、ここで一つ疑問が生まれます。

「逃げた力って、いったいどこへ行くのでしょう?」

どこかへ消えてしまうのでしょうか?

実は、この疑問を考えるために役立つのが、理科で学ぶ「エネルギー保存の法則」です。

運動×理科シリーズ第4弾。今回はジャンプ、走る、ボール、マットなど、身近な運動を例にしながら、「力が逃げる」の正体を科学してみましょう!

そもそもエネルギーは「消えない」

まず覚えておきたい大原則があります。

それが、

エネルギー保存の法則

です。

簡単に言えば、

「エネルギーは突然なくなったり、新しく生まれたりするのではなく、別の形へ変わっていく」

という考え方です。

例えば、ボールを高いところから落としてみましょう。

手に持っているとき、ボールはまだ動いていません。

ところが手を離すと、どんどんスピードを上げながら落ちていきます。

高いところにあったことで持っていた位置エネルギーが、動くことで持つ運動エネルギーへ変わっているからです。

では、そのボールが床にぶつかったらどうなるでしょう?

跳ね返ります。

ところが不思議なことに、普通のボールなら最初に落とした高さまで完全には戻ってきません。

何度かバウンドさせれば、最後には止まってしまいます。

「エネルギーがなくなった!」

と思いたくなりますが、そうではありません。

ボールが永遠に跳ねないのはなぜ?

床に衝突した瞬間、ボールはわずかに変形します。

床も完全に硬いわけではありませんから、ごくわずかに変形したり振動したりします。

そして、

「ポン!」

という音もします。

さらに、変形や内部摩擦などによってエネルギーの一部は熱エネルギーなどへ変わります。

つまり、

運動エネルギー

変形・振動・音・熱など

へエネルギーが分散しているのです。

エネルギーそのものが消滅したわけではありません。

ただし、

「もう一度ボールを高く跳ね返すために使えるエネルギー」が減ってしまう。

これが今回の記事で最も重要なポイントです。

運動でよく使う「力が逃げる」という表現も、厳密には力そのものがどこかへ逃亡しているわけではありません。

目的とする動作に再利用できる力学的エネルギーが少なくなっている」と考えると、かなり本質に近づきます。

では、人間の運動ではどんな場面でこれが起こるのでしょうか?

【ケース① ジャンプ】「グニャッ」と潰れるとどうなる?

その場で何度も連続ジャンプしてみましょう。

着地した瞬間に、

「ポン、ポン、ポン!」

と短い時間で跳ね返る場合と、

「グニャッ……よいしょ!」

と深くしゃがんでから次のジャンプをする場合。

同じジャンプでも、かなり感覚が違うはずです。

人間の筋肉や腱には、バネのようにエネルギーを蓄えて再利用する働きがあります。

着地すると筋腱複合体が引き伸ばされ、そこに弾性エネルギーを蓄え、その直後に縮むことで次のジャンプへ利用できます。

この「伸ばされる→すぐ縮む」という一連の働きをSSC(Stretch-Shortening Cycle:伸張−短縮サイクル)と呼びます。

しかし、切り返しに時間がかかるほど、蓄えた弾性エネルギーをそのまま次の動作へ利用しにくくなります。

だからアンクルホップなどのトレーニングでは、

「着地したら、できるだけ短い時間で跳ね返る」

ことが重要になります。

ただし、「関節を一切曲げてはいけない」という意味ではありません。

必要な範囲で衝撃を受け止めながら、次の動作に必要な反発を効率よく作ることがポイントになります。

【ケース② 走る】脚は「バネ」のように働いている

走る動作もジャンプとよく似ています。

走っているときは、

着地する

体重を受け止める

地面を押す

次の一歩へ飛び出す

という動きを繰り返しています。

このとき、人間の脚はよく「バネ」に例えられます。

接地によって筋肉や腱などがエネルギーを蓄え、それを次の蹴り出しで再利用しているからです。

特にアキレス腱のような長い腱は、走動作における弾性エネルギーの蓄積と再利用に重要な役割を持っています。

では、接地した瞬間に膝や足首が必要以上に大きく曲がり、体が毎回大きく沈み込んだらどうでしょう?

もちろん、走るためには適度な関節運動が必要なので、単純に「曲げないほど速い」という話ではありません。

一方で、脚全体が適切なスティフネス(変形しにくさ)を保つことは、弾性エネルギーを効率よく蓄え、返すために重要だと考えられています。

だから速く走るためには、

強い筋肉を作るだけではなく、「受けたエネルギーをどう次の一歩へ返すか」も大切なのです。

【ケース③ ボール】同じ高さから落として比べてみよう

この「エネルギーの返り方」は、実際に目で見ることもできます。

例えば、

よく弾むゴムボールと、

柔らかくてほとんど弾まないボールを、

同じ高さから落としてみましょう。

同じ高さから落としているので、スタート時の条件をそろえれば、床へ衝突する直前の力学的エネルギーもおおむね同じです。

ところが、

一方は高く跳ね、

もう一方はほとんど跳ねません。

違うのは、

衝突したときのエネルギーの返し方です。

よく弾むボールは、変形によって一時的に蓄えたエネルギーの比較的大きな部分を、再び運動エネルギーとして返します。

一方、弾みにくいボールでは、変形や内部摩擦などによって、より多くのエネルギーが熱などへ変換されます。

つまり、

「どれだけ力を加えたか」だけではなく、「どれだけ返ってくるか」も運動を考えるうえでは重要

なのです。

【ケース④ 硬い床とマット】同じジャンプでも違う?

今度は人間で試してみましょう。

体育館の床と、フカフカの厚いマット。

同じようにジャンプしようとしたら、どちらが跳びやすいでしょうか?

多くの場合、硬い床の方が跳びやすく感じます。

柔らかいマットでは、踏み込んだ瞬間にマットそのものが大きく変形します。

すると、人間がマットに与えた力学的エネルギーの一部がマットの変形に使われ、内部摩擦などを通して熱へ散逸します。

そのため、すべてが人間を押し返すためのエネルギーとして戻ってくるわけではありません。

砂浜を走ると疲れやすいのも似ています。

足元が変形するため、硬い地面を走る場合とはエネルギーのやり取りが変わります。

一方で、トランポリンのように、

「変形するけれど、蓄えたエネルギーを大きく返してくれるもの」

もあります。

同じ「柔らかい」でも、マットとトランポリンではまったく違うのです。

ここが物理の面白いところですね。

【まとめ】「力が逃げた」は、エネルギーが消えたわけではない

今回覚えてほしいことは、とてもシンプルです。

エネルギーは消えません。

これが「エネルギー保存の法則」です。

ただし、運動エネルギーが、熱や音、変形など、別の形のエネルギーへ変わることはあります。

その結果、次の動作に使える力学的エネルギーが少なくなることがあります。

これが、運動の世界でよく使われる

「力が逃げる」

という感覚の一つの正体です。

そして運動が上手な人は、

単純に「力が強い人」とは限りません。

走るときにはエネルギーを次の一歩へつなぎ、

ジャンプではバネのように蓄えて返し、

着地では安全に吸収する。

必要なところで蓄え、必要なところで返し、必要なところでは吸収する。

そう考えてみると、運動を見る目も少し変わってきませんか?

学校で習う「エネルギー保存の法則」は、教科書の中だけに存在する話ではありません。

走っているときも、ジャンプしているときも、ボールを弾ませているときも、私たちのすぐそばで働いているのです。

運動を知ると理科が面白くなり、理科を知ると運動がもっと面白くなる。

次に運動するときにはぜひ、

「このエネルギー、今どこへ行った?」

と考えてみてください!


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